運用を行っていると、日々、資産評価は上下します。このとき、その資産評価をどのような基準で見ているでしょうか。よくあるケースとして、人は直近の最大評価を基準にしてしまいます。「最高値から何%下がったか」この数字を基準に、今の運用が良かったのか、悪かったのかを判断してしまう。この捉え方自体が、必ずしも間違っているわけではありませんが、後悔の感情を生みやすいという側面があります。特に、評価が大きく下落した局面では「あの時、売っておけばよかった」という感情が強くなりやすくなります。

後悔はどこから生まれるか

後悔という感情は、突然生まれるものではありません。多くの場合、評価額を唯一の判断基準にしていることが、その発生源になっています。評価が下がる、過去の最大評価と比べる、「判断を間違えたのではないか」と考え始める。この流れに入ると、感情は一気に揺さぶられます。

資産評価を確認の指標として使う

私の場合、管理ができる範囲でしか銘柄を保有しません。銘柄数は、多くても5〜10銘柄ほどです。それぞれの銘柄の判断が資産全体の評価につながるため、ひとつひとつの判断に集中するようにしています。その上で、資産評価は次のように捉えています。日々の評価額そのものに一喜一憂するのではなく、「想定していた動きと、実際の値動きがズレていないか」を確認するための指標として、資産評価を見ています。評価額は「増えた」「減った」を喜んだり悲しんだりするためのものではなく、自分の判断が市場と噛み合っているかを確認する結果、という位置づけです。

運用には、終わりがありません。短距離走ではなく、長距離走です。そのため、できるだけノイズ(今の判断に不要な情報)が頭に入ってこない体制を作ることが大切だと考えています。相場が大きく動くときほど、評価額ばかりに目が向きがちになります。そんなときこそ、評価を見る目的を一段引いて考えることで、感情の揺れを抑えやすくなります。最大評価を基準にするのではなく、自分の判断と値動きが噛み合っているかを確認する。ひとつの捉え方として、参考になれば幸いです。

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代表取締役 下田祐樹
下田 祐樹(株式会社TODOKERU 代表取締役)
野村證券にて17年間、個人・法人の資産管理業務に従事した後、投資助言・代理業として独立。関東財務局長(金商)第3348号。著書『運用者の規律』ほか。プロフィール詳細