相場の世界では、生き残り続けることが最も大事である。私は、この言葉をよく使います。今回は、その意味を少しだけ深掘りしてみたいと思います。そもそも「生き残る」とは、どういう状態を指すのでしょうか。トータルで利益が出ている状態のことなのか、それとも損失を抱えている状態では生き残っているとは言えないのか。さまざまな捉え方があると思います。

「生き残る」とは投資を継続できる状態のこと

私の中での「生き残る」とは、投資を継続できる状態であることを指します。例えば、明日、株価が大きく下落し、極端な例ですがすべての株式が半値になったとしましょう。その状況になったとしても、なお投資を続けられる状態にあるかどうか。私が重視しているのは、そこです。逆に言えば、「投資に失敗する」「相場から退場する」という言葉は、投資を継続できなくなった状態を指していると考えています。損失が大きく、打てる手が何も残っていない状態。それが、投資に失敗している状態だと私は定義しています。

修正できる失敗とそうでない失敗

「投資は続けられるが、保有している銘柄が半値になっている。それでも生き残っていると言えるのか」そう感じる方もいるかもしれません。おっしゃる通り、その銘柄への投資は失敗だった、という判断になります。ただし、運用そのものを継続できる状態にある限り、その失敗は修正できる失敗です。まだ判断を見直し、次につなげる余地が残っているからです。大事なのは、なぜ半値になるまで持ち続けてしまったのか、その原因を振り返れるかどうかです。生き残ってさえいれば、失敗は経験となり、次の判断に活かすことができます。

孤独であることと積み重ねること

綺麗ごとに聞こえるかもしれません。ただ、綺麗ごとに聞こえるからこそ、運用は簡単ではありません。さらに言えば、運用はとても孤独な作業です。最終的な判断を下すのは、常に自分自身。誰かが代わってくれるわけではありません。その一方で、孤独であるからこそ、積み重ねた思考や工夫が、結果に反映されやすい世界でもあると私は考えています。

相場で生き残るというのは、強くなることでも、正解を当て続けることでもありません。判断を誤ったときに、立ち止まり、修正し、もう一度、投資を続けられる状態に戻れること。私は、そのための考え方を何よりも大事にしています。

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代表取締役 下田祐樹
下田 祐樹(株式会社TODOKERU 代表取締役)
野村證券にて17年間、個人・法人の資産管理業務に従事した後、投資助言・代理業として独立。関東財務局長(金商)第3348号。著書『運用者の規律』ほか。プロフィール詳細