運用を行っていますと、あらゆる場面でメンタルを削られていきます。このメンタルですが、強い方が投資に向いているのでしょうか。なんとなくですが、投資に成功している人はみな投資メンタルが強い、そんなイメージを持っている方が多いのではないでしょうか。そのため、投資メンタルを鍛えれば運用成果が向上するはずだ、そんな風に考えている方がいらっしゃるかもしれません。

メンタルを鍛える必要はない

これはあくまで私の持論になりますが、そもそも投資にメンタルの強さは関係ありません。ましてや、投資メンタルを鍛える必要はありません。投資メンタルを鍛えるということは、投資ストレスと向き合い、我慢をするということです。そのような状況を繰り返しますと、鍛えるどころか「慣れ」となり、成果の足を引っ張るようになるでしょう。仕事上、「下田さんは投資メンタルが強いんですね。そうでもないと投資顧問業なんてできないでしょ」そう言われることがあります。ただ、実際は違います。私自身、運用の自己分析を行ってみても、損失を気にするタイプだと感じています。では、なぜ20年近く、投資の世界で生きてこれているのか。断定はできませんが、成果に投資メンタルの強さは必要ないためです。正確に言えば、運用成果とメンタルの強さは、ほとんど相関しないと考えています。

自分の運用耐性を理解する

大事なことは、自分の投資メンタルを理解することです。例えば、どの程度の含み損で不安になるのか、どの場面で心がざわつくのか、どんな相場展開が一番ストレスになるのか。こうした点を、過去の運用を振り返りながら整理していくと、自分の「運用耐性」が見えてきます。そして、そのメンタル特性に合わせて、運用体制やルールを設計していく。ここが極めて重要です。運用とは、自分の性格に合った「勝ち方」を作る作業でもあります。この設計を磨いていけば、自然と成果へと繋がっていきます。磨く対象は、結果ではなく「過程」です。

揺れることを前提に設計する

投資は、メンタル勝負をした瞬間、完全なギャンブルと化します。ただ一方で、結果にはランダム性が存在するのも事実です。だからこそ、そのランダム性に振り回されない状態を、自分のメンタルを理解した上で、設計していくことが大事です。メンタルを強くしようとするのではなく、揺れることを前提に、設計していく。それが、長く市場に残り続けるための現実的な向き合い方なのだと思います。

自分のメンタル特性に合った運用設計を考えたい方は、当社のサービスのご案内をご覧ください。投資顧問契約が初めての方ははじめての方へをご確認ください。

代表取締役 下田祐樹
下田 祐樹(株式会社TODOKERU 代表取締役)
野村證券にて17年間、個人・法人の資産管理業務に従事した後、投資助言・代理業として独立。関東財務局長(金商)第3348号。著書『運用者の規律』ほか。プロフィール詳細