きっと正しい。そう頭ではわかっていながら、動けなかったことがあります。「急落はチャンスだ」「資金管理が大事だ」「損失は小さく、利益は大きく」どれも正しい。間違っているとは思いません。それでも、続かない。なぜなのか。
成功者バイアスという重み
成功者の発信には、不思議な重みがあります。資産〇〇億達成、長年の実績。その肩書きを見ただけで「この人の言うことは正しい」と感じてしまう。私はこれを、ひとつの"成功者バイアス"だと思っています。内容そのもの以上に、実績が判断に影響してしまう状態です。もちろん、実績は軽いものではありません。だからこそ、言葉が強く刺さります。そして、その通りにやってみる。けれど、うまくいかない。すると今度は、自分に問題があるのではないかと考えてしまう。「急落はチャンスだ」理屈はわかります。ですが実際の場面では、すでに含み損を抱えている、余裕資金がはっきりしていない、さらに下落したらどうなるのかが怖い、そんな感情が先に出てきます。
言葉が成り立つ前提の違い
一方で、発信している側はどうでしょうか。急落時に使う資金をあらかじめ分けている、資産全体の変動を把握している、撤退ラインを決めている。同じ相場でも、置かれている状況が違います。ここにギャップがあります。成功者が間違っているわけではありません。言っていることは正しい。ただ、その言葉はある前提の上で成り立っています。その前提が整っていないまま言葉だけをなぞっても、うまく機能しない。だから続かない。「成功者は余裕があるからできる」そう考えたくなることもあります。けれど、証券マンとして17年間、現場を見てきて感じたのは、違いは結果ではなく、準備の積み重ねにあるということです。資金の置き方、リスクの把握、ルールの決め方。こうした部分が整っているかどうか、その差が、時間とともに大きな差になります。
まず自分の前提を整える
成功者の意見は正しい。否定する必要はありません。ただ、成功者バイアスのままその言葉を受け取ると、苦しくなることがあります。大事なのは、その言葉が機能する前提を、自分が持っているかどうか。そこを整えていくこと。成功者の意見は正しい。けれど、それをそのまま当てはめる必要はありません。まずは、自分の前提を整えること。正論が力を持つのは、そのあとです。
