私はこれまで、数多くの失敗をしてきました。世の中では運用のプロが成功例を語ることが多いですが、私はどちらかというと、失敗例を語ることの方が多いです。なぜなら、これまでの度重なる失敗が、今の私の運用の土台を作っているからです。
徹底的に調べた銘柄への執着
もうずいぶん前の話になりますが、とある上場企業の社長とお話しする機会があり、その考え方に大きな感銘を受けたことがあります。その後、その会社について徹底的に調べ、事業内容や将来性を分析しました。当時勤めていた会社の中でも、誰よりも詳しいと言えるほど調べたと思います。そして私は、その会社には大きな将来性があると判断しました。ところが、その後、事業の進捗につまずき、株価は大きく下落します。本来であれば、想定外の動きが起きた時点で、冷静に判断し、ポジションを見直す必要がありました。しかし、私はその判断ができませんでした。「まだ可能性はある」「事業の進捗が遅れているだけだ」そう考えていたからです。結果として、私は自分自身が出した成果を受け入れることができなかったのだと思います。これは執着にも近い状態でした。その銘柄を保有し続けたことで、結果的にその後訪れた相場全体の上昇局面に十分に対応できず、自分自身の選択に、大きく後悔したことがあります。
この失敗から学んだ3つのこと
この失敗から、私は大きく3つのことを学びました。1つ目、銘柄に詳しいことと、成果が出ることは別であるということ。2つ目、深い分析は、ときに期待バイアスを強めてしまうということ。3つ目、成果に言い訳をした後の代償は、想像以上に大きいということ。特に3つ目は、強く心に残っています。成果を受け入れず、そこに理由付けをしてしまう運用は、どこかで必ず大きな歪みを生みます。
成果は操作するものではなく受け入れるもの
どんなに優位性があると判断した取引であっても、成果には必ず一定のランダム性が存在します。強気な銘柄でも、突然のネガティブサプライズで下落することがありますし、弱気に見える銘柄でも、思わぬ材料で上昇することもあります。成果を自分でコントロールしようとしてはいけません。成果は「操作するもの」ではなく「受け入れるもの」だと、私は考えています。この考え方を持つようになってから、運用におけるストレスは大きく減り、結果としてパフォーマンスの安定につながりました。
運用の世界では、手法や分析ばかりが注目されがちですが、実はそれ以上に、物事の捉え方や考え方が成果に大きな影響を与えます。成果をどう受け止めるか、失敗をどう解釈するか。この積み重ねが、長く相場に残れるかどうかを分けていくのだと思っています。
