相場状況を確認する際、どのような方法を使っているでしょうか。指数を見る。ニュースを見る。個別銘柄の値動きを追う。さまざまな方法がありますが、私はまず主導株の動きを確認します。

主導株とは何か

主導株とは、その相場を実際に引っ張っている中心銘柄を指します。特徴としては、時価総額が大きいことが多い、指数への寄与度が高い、機関投資家の資金が集中する、トレンドが明確で継続性がある、といった点が挙げられます。セクターの代表格であることが多く、その時の相場で力強い動きを示している銘柄をピックアップすることで、比較的特定しやすい存在です。高値を更新している銘柄、あるいは高値圏で推移している銘柄。その銘柄が業界のど真ん中に位置していれば、その業種が市場を主導している可能性が高いと考えます。

相場の勢いを映す鏡

野球でいえば、3番・4番バッターのような存在です。主力が打てば試合は優位に進み、主力が沈黙すれば得点は伸びにくい。相場も同じです。主導株の調子は、相場全体の勢いを映す鏡のようなものです。ポートフォリオに主導株を一定割合組み入れておくと、体感として相場の状態を確認しやすくなります。私は相場を確認する際、まずこの主導株の動きを見ます。主導株が順調に推移していれば、トレンドはまだ継続している可能性が高い。一方で、主導株に変化が出始めた場合は、ここからは積極的にリスクを取る局面ではないと判断します。

買い意欲の低下サイン

高値圏で重要になるのは、買い意欲の低下サインです。これはローソク足や出来高に表れることがあります。首吊り線(下ヒゲを伴う高値引け陽線)と翌日以降の出来高を伴わない長い陰線は、高値を追う圧力の低下を示唆します。実体より長い上ヒゲの連続は、高値圏での売り圧力の強まりを示唆します。陰線包み足からの長い陰線は、上値での資金流出の初期兆候となることがあります。ただし、これらはあくまで一つの示唆にすぎません。単一のサインで判断を決めることはありません。重要なのは、主導株に資金が集まり続けているか、それとも集まりにくくなっているかという変化です。

50日や150日移動平均線からの乖離が過度に拡大している場合、短期的な調整が近い可能性もあります。移動平均線は"重力"のような存在です。価格が大きく離れれば、利益確定売りやポジション調整が入りやすくなります。大きな利益が発生しているということは、同時に売却圧力の種も育っているということです。

主導株が崩れ始めたときの対応

主導株には大きな資金が集中しています。そのため、この防波堤が崩れると、資金の引き上げが連鎖しやすくなります。主導株が値崩れを始めた場合、本格的な下落トレンド入りの可能性を考慮します。その際、ポジションを一部軽くする、新規で積極的にリスクを取ることを控える、現金比率を引き上げる、といった対応を検討します。主導株が強い間は押し目は機能しやすいですが、主導株が崩れ始めた局面では押し目が"下落途中"になることも少なくありません。

最も優先すべきは、リスク管理です。テクニカル分析は攻めの文脈で語られることが多いですが、守りの局面で使う方が、結果として安定に繋がります。私は、主導株の動きをそのための一つの判断材料として活用しています。

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代表取締役 下田祐樹
下田 祐樹(株式会社TODOKERU 代表取締役)
野村證券にて17年間、個人・法人の資産管理業務に従事した後、投資助言・代理業として独立。関東財務局長(金商)第3348号。著書『運用者の規律』ほか。プロフィール詳細