相場の下落に巻き込まれ、保有株が損失となってしまった。このとき、多くの方がまず考えることがあります。早く、元の評価額に戻したい。そして「早く評価を戻せそうな銘柄はないだろうか」と考え始めます。相場が下落している局面では、多くの銘柄が同時に下がっているため、過去の価格と比べればどれも安く見える状態です。そこで目に入りやすくなるのが、大きく下落している銘柄です。「ここは押し目ではないか」そう考え、投資行動に移してしまった経験。おそらく、多くの方に心当たりがあると思います。私自身もあります。
下落局面ほど値動きの派手な銘柄に目が行く
下落局面になるほど、値動きの派手な銘柄に目が行きやすくなります。理由はシンプルで、小型株のほうが短期的な反発力が強いと思えてしまうからです。「もし反発するなら、この銘柄の方が戻りが早いはずだ」そんな期待が、焦りと一緒に湧いてきます。さらにこの判断を強化するのが過去の経験です。「前回、似たような局面があった」「あのときは買い逃した」「今回こそは行けるはずだ」そう考え、押し目買いを進めてしまいます。
同じ条件でも結果が変わる理由
この判断、正しいでしょうか。おそらく多くの方は「間違いだ」と答えると思います。では、少し条件を変えてみます。あらかじめ「相場は下落する可能性が高い」と考え、多くの現金ポジションを持っていたとします。その状態で同じように株価が大きく下落し、「このあたりで、まずは拾っておくか」と判断して買い付けた場合、この判断は正しいでしょうか。こちらの問いには、迷う方が多いと思います。
実は、この二つの状況は条件としてはほぼ同じです。違うのは、「損失を早く取り戻したい」という感情があるかどうか、この一点だけです。この感情の有無によって、買い付け後の行動が大きく変わります。前者の場合、それは「損失を取り戻したい」という願望からの押し目買いです。このとき、人は無意識にリスクを軽視しがちになり、想定外の動きへの対応が遅れ、損切りができなくなる状況に陥りやすくなります。一方、後者の場合は「まだ早かったかもしれない」と判断すればすぐに損切りを行うことができ、リスク対応が機能している状態です。この差は、その場では小さく見えても、後から振り返ると非常に大きな差になります。
差を生むのは行動前の心の状態
この例から分かるのは、押し目買い自体が悪いわけではないということです。本当の差は、行動を起こす前の心の状態の違いにあります。もちろん、現場の判断は簡単ではありません。私自身も、迷い、悩むことは今でも多々あります。ただ、こうした構造を知っているかどうかで、失敗の質、次への活かし方は確実に変わります。私は、このように考えを整理しながら、日々、相場と向き合い、判断の質を磨いています。
