私は普段、投資顧問(投資助言業)として仕事をしています。すると、かなりの頻度でこう言われます。「投資顧問って、株価予想のプロでしょう?」
多くの方が同じようなイメージをお持ちだと思います。ですが、実際の投資顧問の役割は、その認識とは大きく異なります。このコラムでは「投資顧問とは結局、何をしている仕事なのか」を、現場の目線からできるだけわかりやすく整理します。なお、ここに書く内容は私自身の経験と考えに基づくものであることを、あらかじめご了承ください。
投資顧問には、2つの形態がある
投資顧問は、大きく分けて「投資運用業」と「投資助言業」の2つに分類されます。
投資運用業は、お客様から資産を預かり、一任で運用を行う形態です。身近な例では投資信託がこれにあたります。運用会社が資金をまとめて運用するモデルです。
投資助言業は、お客様の投資アドバイザーという立ち位置です。資金をお預かりすることはなく、運用に悩まれている方に対して、売買判断・資産配分・リスク管理などの運用サポートを行います。当社が行っているのは、こちらの投資助言業です。
登録のハードルは、想像以上に高い
どちらの業務も財務局への登録が法律で義務付けられており、厳しい審査があります。特に2012年(平成24年)の金融商品取引法の改正以降、審査は一段と厳格になりました。金融機関での実務経験、コンプライアンス体制、人員配置など、法令を遵守するための組織体制が求められます。
私自身、投資助言業の登録を取得する際には相当な苦労をしました。司法書士の方に相談しても「この条件では登録は厳しいです」と何度も断られ、それでも探し続けて、ようやく「この経歴なら可能性があります」と言ってくださる方に出会い、登録に至りました。現在でも金融機関時代の後輩から登録の相談を受けますが、条件を満たせるケースはほとんどありません。
日本における投資助言業の実態
現在、日本の投資助言業の登録業者数は約1,000社です。ただし、そのほとんどは大手金融機関や不動産会社などが法人向けサービスのために登録しているケースです。個人投資家向けにしっかりとしたフォロー体制を敷いて助言業務を行っている会社は、数十社程度に過ぎないと言われています。
証券会社との決定的な違い
「証券マンと何が違うのか」ともよく聞かれます。
証券会社の営業担当者は、株式や投資信託などの金融商品を販売することが主な役割です。金融商品を提案し、その販売手数料が収益源になります。
一方、投資助言業の役割は「お客様の資産管理」そのものです。リスクを取り過ぎていないか。無駄な手数料を払っていないか。相場環境に合った運用になっているか。売買のタイミングは事前に整理されているか。こうした運用全体を俯瞰し、助言を行うことが仕事です。
整理すると、金融商品の販売を担うのが証券会社・銀行、資産管理を担うのが投資助言業、という構造になります。
なぜ「株価の予想屋」という誤解が生まれたのか
実務では、お客様の資産管理を担当するようになると「あなたの考える運用方針で管理してほしい」と言われるケースがほとんどです。その結果、多くの投資助言会社が銘柄アドバイスを強みに業務を展開するようになりました。この「銘柄アドバイス」だけが独り歩きした結果、投資顧問=株価の予想屋というイメージが定着してしまったのだと思います。
投資助言業の本質
しかし、私が考える投資助言業の本質は、株価を当てることではありません。
投資の世界では、損失はすべて自己責任です。だからこそ、できるだけ失敗しないこと。取り返しのつかない損失を避けること。市場から退場しないこと。この視点が何より重要になります。
誤解を恐れずに言えば、投資助言業の存在意義は「儲けさせること」ではありません。市場で生き残り続けられる投資家をサポートし、育てること。これこそが本来の役割だと、私は考えています。
